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図8 剖検による乳癌の合併症(28人)

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図9 剖検による前立腺癌の合併症(25人)

立腺癌の4人に1人の合併症のあることより、経過の中で心筋梗塞の発症にとくに注意が必要と考える。なお、多重癌の頻度は60%であった。今度は見方を変えて図10では剖検例より呼吸器感染症を合併する癌の種類と頻度を比較したその結果は、胃癌49.5%、前立腺癌48.0%、乳癌28.6%、肺癌25.7%、大腸癌22.8%であった。全体的に呼吸器感染症がかなり高率に見られ、このことは末期癌患者で胸痛、呼吸困難、喀疲の増加などを訴え、もし簡単な血液検査で炎症所見に平素と異なる急激な変化があり、胸部X線写真、聴診所見と併せて呼吸器感染症を考えることができれば抗生物質の使用を検討する必要性を示すものと思う。なお、同じ消化器癌でも大腸癌の呼吸器感染症の頻度は肺癌の約2分の1以下であった。
図11では剖検例より、心肥大・心拡張を合併した癌の種類と頻度を検討した。左右の心肥大を合計した疾患は肺癌38.1%、乳癌25.0%、胃癌18.1%、大腸癌17.1%、前立腺癌4.0%であった。
ここで心肥大は臨床的には心不全との関連を考えて対処してよいと考える。ただ心肥大が癌になる前からあった可能性も高いが、いずれにしても

 

 

 

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